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華人のインドネシア現代史

はるかな国民統合への道

著者:貞好康志


ジャンル:文化人類学/地域研究
A5判(タテ210mm×ヨコ148mm) 上製本 472頁
定価:本体5,500円+税
ISBN 978-4-89618-064-0 C3031
2016年7月30日発行
装幀:菊地信義


インドネシアの「華人問題」を解く道は、
世界の「移民問題」へと通じる。

オランダ植民地期の19世紀末に中国から移民してきた「華人」を主人公にした、インドネシア現代史。
熾烈な反華人暴動にさらされながらも「母なるインドネシア」を希求してやまない華人たち。ひたむきにインドネシア人として生きようとする思想の系譜が、暗やみから光芒をはなち、インドネシアが戦争・革命を経て独立し、国家建設を目指して、多様な住民集団からなる「平等・一体の国民共同体」を作ろうとしてきた100年の軌跡を照らし出すとともに、すべての思想の底流をなして、常に変容を重ねてきたインドネシア・ナショナリズムの姿を浮かび上がらせる。

▶︎目次

序  インドネシアの国民統合と華人

Ⅰ部  華人問題の原型――植民地期
1章  近代植民地支配への対抗運動と華人
2章  インドネシア華人党PTIとコー・クワット・ティオン

Ⅱ部  「インドネシア志向」への試練――激動期
3章  戦争・革命・独立と華人――1940~50年代
4章  華人の同化論争――同化派、シャウ派、第三派
5章  権力闘争との結合――バプルキ対同化派

Ⅲ部  華人政策と矛盾の拡大――スハルト体制期
6章  「同化」のねらい――新秩序体制成立期の華人政策
7章  華人をめぐる動向と言説――1970~80年代
8章  カタストロフィへ――スハルト体制末期の変動

Ⅳ部  新たな「インドネシア民族」へ――改革期
9章  「インドネシア志向」のゆくえ――2002年の「大討論」
10章  華人政策の転換と2006年国籍法

▶︎著者プロフィール
貞好康志(さだよし  やすし)
1964年、福岡県に生まれる。住友林業株式会社勤務を経て、インドネシア国立ディポヌゴロ大学へ留学。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程(単位取得退学)、学術博士(東南アジア地域研究)。現在、神戸大学大学院国際文化学研究科・教授。
主要な著作に「ジャワで〈華人〉をどう識るか――同化政策三〇年の後で」加藤剛編『変容する東南アジア社会――民族・宗教・文化の動態』(めこん 2004年)、「インドネシア華人のコミュニティ団体の変容―スマラン和合会序説」『国際文化学研究』37号(2011年)、「移民とローカリティ」国立民族学博物館編『世界民族百科事典』(丸善出版 2014年)などがある。