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エルサレムの悲哀

著者:村田靖子


ジャンル:小説
四六判(タテ188mm×ヨコ128mm) 上製本 234頁
定価:本体2,500円+税
ISBN 978-4-89618-067-1 C0093
2018年7月25日発行
装幀:菊地信義


ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、三つの一神教の聖地エルサレム。この町に、免れようもない歴史を背負って暮らす、ユダヤ人、アラブ人をはじめとする、さまざまな人びとの息遣いと苦悩を映す。パレスチナの地にユダヤ人国家が建国されて以来、憂愁深まる石の町をさすらう記憶の物語。

若くしてイスラエルに出会い、ヘブライ文学の研究・翻訳に携わりながら、かの国の変貌に目を凝らしてきた著者の、書き下ろし短篇集。

▶︎目次
刻まれた十字架――7
エル=タージ家の館――35
声をなくした少女――77
鏡台――95
喪があけて――113
ようこそ、パレスチナへ――137
約束――159
ライラの夜――173
メア・クルパ――201


▶︎著者プロフィール
村田靖子(むらた やすこ)
1945年、東京に生まれる。東京女子大学哲学科を卒業後、ボランティアとしてイスラエルのキブツ(農業共同体)で暮らす。その後、東京都立大学大学院で英米文学を専攻し、弘前大学助教授、東邦大学教授を歴任するかたわら、イスラエルへの関心はいや増しに高まり、現代ヘブライ文学の研究・翻訳活動を続ける。イスラエルの変貌が大きなテーマとして基調音になってはいるが、三つの一神教が聖地と唱えるエルサレムに漂う宇宙的憂愁ともいうべき空気に瞠目。地上にふたつとない類いまれなこの町に暮らす多種多様な人びとの息遣いと苦悩は創作という形でしか表現できないと思い至り、この短篇集に着手する。
共著に『モダニズムの越境』(人文書院)、『わかるユダヤ学』(日本実業出版社)、『シオニズムの解剖』(人文書院)など、主な訳書にアモス・オズ『わたしのミハエル』(角川書店)、『ブラックボックス』(筑摩書房)、『わたしたちが正しい場所に花は咲かない』(大月書店)、アモス・エロン『エルサレム――記憶の戦場』(法政大学出版局)、J. M. クッツェー『石の女』(スリーエーネットワーク)、イェフダ・アミハイ『エルサレムの詩――イェフダ・アミハイ詩集』(思潮社)などがある。